日本タングステン・基山工場を訪ねて
当社の粉末冶金技術により、炭化タングステンとコバルトなどの粉末を混ぜ合わせて高温で焼き固めた『超硬合金製品』は、基山工場で生まれています。今回は、この『超硬合金製品』の中の1つ『NTダイカッター』をご紹介します。
当社の超硬合金製品の中でも主力となる商品が『NTダイカッター』です。『NTダイカッター』とは日本タングステンのロータリーカッター種で、外周表面に刃を持つ『ダイカッター』と、平滑な外周面を持つ『アンビルロール』から構成され、その間に紙や不織布を通すことで輪郭加工を行います。従来のロータリーカッターは鉄系の材料が使用されていますが、刃先やアンビル表面が摩耗しやすいため寿命が短く、切れ味も悪いという欠点がありました。ロータリーカッターに、当社独自の超硬合金材料を用い、加工技術を駆使することで、従来品の約10倍の長寿命と鋭い切れ味をもつ『NTダイカッター』が誕生しました。
『NTダイカッター』の刃やアンビル表面は再研磨も可能で、鋭い切れ味のまま長く使用することができます。
焼結を繰り返すことで強靭な材料を作り上げる
超硬合金製品の製造は、まず粉末の混合から始まります。混同した粉末はゴム製の袋に入れられ、水中での加圧により押し固められた後、機械加工が比較的容易な状態まで焼成します(仮焼結)。この段階の製品を『仮焼体』と呼び、それを機械加工により最終製品に近い形状に整えます。この仮焼体を高温で焼き固める(焼結)ことで非常に硬い超硬合金が得られ、さらに、高温の炉の中で加圧するHIP処理を行うことで、微細な気孔も無い高品質な超硬合金に仕上げます。
職人の手仕上げにより鋭い切れ味に
『NTダイカッター』の切れ味の鋭さの秘密は、独自の刃先形成技術にあります。最終形状に近い形状まで機械加工した後、手作業で独自の刃先に仕上げることで、鋭く欠けにくい刃が完成します。この手作業の仕上げ工程は、ミクロン単位の精度が要求されるため、熟練した腕をもつ作業員が顕微鏡越しに研磨を行います。作業員の表情は真剣そのもの。当社製品の品質は職人技ともいえる高い技術力によって支えられています。
グローバルな支援体制でお客様をサポート
当社が長年培ってきた、粉末冶金技術と高精度な加工技術の結晶である『NTダイカッター』は、国内のみならず、世界中のお客様にご使用いただいております。また、アメリカや中国をはじめ、海外でも刃先再研磨のサポート体制を整え、お客様への迅速なサービスを提供しております。
お客様の信頼にお応えできるよう、当社はこれからも製造から販売、そしてアフターサービスに至るまで一貫して誠意を持って取り組んでいます。