1.タングステン(W)
・溶融点が金属中、最も高い(3387℃)
・常温での硬さ、また高温での硬さも高い
・常温ではかなり安定であるが、表面の光沢を失う程度に酸化する。
・400℃程度から酸化を始め、W3O,WO2,W20O58などを経て、700℃程度からWO3を形成し
急激に酸化する。
・電気抵抗率が高い(5.5×10-8Ωm IACS%で31)
2.モリブデン(Mo)
・高い融点を持つ(約2600℃)
・高温での機械的強度が高い
・空気中、常温ですでに酸化が始まり、暗赤色温度では、かなり酸化が進む。
・乾燥した酸素と常温では作用しないが、500℃以上では急速に酸化する。
また650℃以上では揮発して白鼠色のMoO3となる。
・電気抵抗率が高い(5.7×10-8Ωm IACS%で30)
このように、WまたはMo は、その高温強度の優位性から、通電電流が大きい、ショットサイクルが早いなど、電極への熱的負担が大きい溶接条件において多用され、電極の変形による溶接品質のばらつきや寿命が短いといった不具合に対し優れた性能を発揮している。
ただし、熱伝導率が低いことから、電極の発熱は比較的大きくなる。WやMoと合金化しやすいワーク材質やめっき皮膜であると、溶着、スパッタなどがひどくなる場合がある。
加えて酸化しやすいといった面もあるので、酸化消耗(スケールアウト)が進まないように電極を積極的に冷却する必要がある。
電極の温度上昇と酸化の防止には、後述する当社のNDB法がある。