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ニッタン技報セラミックス製品応用

1.はじめに

アルミナからはじまるセラミックスの歴史は、主成分であるアルミナに、TiC粒子やZrO2粒子で分散強化したAl2O3−TiC(黒セラ)系工具や Al2O3−ZrO2系工具が開発され、さらに、SiCウィスカで繊維強化した工具や Si3N4系工具が開発されたように、切削工具用途での応用が最初に行われてきましたが、最近では、工具用 セラミックスのほかに、電気特性や高靭性などの特性を利用した特殊用途のセラミックスも登場してきました。本報告では、最近の当社セラミックスのご紹介を致します。

2. 材質の特性と性質

(1)材料コンセプト

当社のセラミックスの多くは切削工具に使用できる緻密性と強度・硬度を有しており、高品位のセラミックス材料としての機械的性質を持っております。各材料の機械的性質を表1に示します。

表1.セラミックス材料の諸特性
材種
記号
材質 密度 硬度 硬度 抗析力 ヤング率 破壊靱性 圧縮
強度
熱膨張率 熱伝導率 電気
抵抗
熱衝撃
抵抗
    g/cm3 HV HRA MPa GPa MN/m-3/2 GPa x10-6/K W/m・K Ω・m ΔT(℃)
NPA-5 Al2O3 3.97 1900 93.6 800 402 4.2 3.5 7.4 29 >1012 200
NPA-2 Al2O3+TiC 4.24 2000 94.0 835 392 5.0 4.0 7.8 21 3*10-5 250
NPZ-1 ZrO2 6.07 1250 91.0 1800 210 7.5 3.0 10.5 3 2*1010 300
NPZ-2 ZrO2+NbC 6.54 1450 91.5 1700 240 7.5   9.4 4 3*10-5 300
NPZ-5 ZrO2-Al2O3 5.35 1500 92.0 1800 240     9.5 5.8 8*109  
NPS-1 SiC 3.10 2400 94*1 540 411 3.2 3.5 4.7 46 >104 600
NPN-3 Si3N4 3.30 1850 93.5 1400 411 7.0 4.0 3.4 25.4 >1012 800
NPL-2 AlN 3.30 1000 89.0 400 310 2.5   5.0 130 >1012 400
(2)構造用セラミック材料とその用途

表2に示すように、当社では、セラミック材料は大別して、
?Al2O3系、?ZrO2系、 ?Si3N4系、?炭化珪素系
の4種を中心に製造販売しております。

表2.各種セラミック材料の代表的な用途
  成分 代表的な用途
大区分   材種 主成分 構成分 切削工具 耐摩・耐食 耐熱用途
Al2O3 NPA-5 Al2O3 Al2O3 -
NPA-2 Al2O3-TIC Al2O3 TiC  
NPE-1 Al2O3-TiO2 Al2O3 -    
部分安定化
ZrO2
NPZ-1 ZrO2 ZrO2 -    
NPZ-2 ZrO2-NbC ZrO2 TiC    
NPZ-5 ZrO2-Al2O3 ZrO2 Al2O3    
窒化物 NPN-3 Si3N4 Si3N4 -
NPL-2 AlN AlN -  
炭化物 NPS-1 SiC SiC -  

(1)Al2O3系(NPA-5,2、 および、NPE-1)
Al2O3系セラミックスには純Al2O3系の「NPA-5」、Ticを添加した「NPA-2」、導電性成分を添加した「NPE-1」の3つがあります。NPA-5は酸化物系であるため、耐摩耗性、耐食性、耐酸化性にに優れる構造用セラミックスであります。NPA-2はTicを添加することによって、強度靭性が向上し、導電性を持つ複合材となっております。NPE-1は、絶縁体と導電体の中間にある半導電性を有する機能性材料であります。

(2)ZrO2系(NPZ-1,2,5)
ZrO2系セラミックスであるNPZ-1はセラミックスの中で最も強度・靭性が高いセラミックスであり、強度・靭性を必要とする用途に適しております。ただし、熱による変態がありますので、耐熱用途には不向きな場合があります。絶縁体であるNPZ-1に導電性セラミック粒子を添加したものがNPZ-2であります。導電性を有することによって、電気的加工が可能となり、さまざまな形状に対応できます。NPZ-5は耐摩耗性、化学的安定性に優れるAl2O3を分散強化した耐摩耗性に優れたZrO2系セラミックスであります。

(3)Si3N4系(NPN-3)
Si3N4系セラミックス「NPN-3」は室温から1200℃に至る広い温度域で強度・靭性が高く、高温構造材、高温耐摩耗部材としての用途に適しております。また、結晶粒子の脱落が少ないので耐ブラスト摩耗に強いという特徴があります。

(4)SiC系(NPS-1)
SiC系セラミックス「NPS-1」は室温から高温にいたる温度域で最も高硬度であるセラミックスでありますので、耐熱性を必要とする耐摩耐食材料としての用途に適しております。また、NPE-1と同様に半導電性を有しておりますので、静電気対策に有効なセラミック材料でもあります。

セラミックスは高硬度で耐熱性の高い材料として金属や超硬合金材料に置き換える用途があります。図1に、セラミック材料の硬さと靭性・強度との関係、図2に、セラミック材料の温度と強度・靭性の関係を示します。

図1 セラミック材料の硬さと靭性・強度との関係
図1 セラミック材料の硬さと靭性・強度との関係
図2 セラミック材料の温度と靭性・強度との関係
図2 セラミック材料の温度と靭性・強度との関係
(3)電気的性質

図3に電気特性を示すセラミックスの特性図を示します。

(1)絶縁性セラミックス
セラミックスの中で、アルミナ、ジルコニアなどの酸化物や窒素珪素は電気抵抗の高い絶縁材料であり、電気的な用途では、絶縁用途に使用します。

(2)導電性セラミックス
導電性セラミックスは絶縁体であるアルミナ、ジルコニアなどの酸化物に導電性セラミックス粒子を微細に分散した電気抵抗の低いセラミック材料であります。ワイヤーカットや放電加工などの電気的な加工が可能なセラミック材料であり、電気的電気導電性を必要とする用途に使用できます。

(3) 半導電性セラミックス
電気抵抗では絶縁性セラミックスと導電性セラミックスの中間に位置しており、電気的な加工はできませんが、静電気を伝導・放出することができ、静電気対策のセラミックスとしての用途があります。

以上のように、セラミックスにも電気的性質を応用できる用途があり、耐摩耗、耐食性に優れるセラミックスが使用可能となります。

表3.セラミックスの特徴を生かした応用製品例(社外データ含む)
表3.セラミックスの特徴を生かした応用製品例(社外データ含む)
(4)熱的性質

熱的性質、すなわち、熱伝導、熱拡散に優れる材料として、表2に示すように、窒化アルミニウム材料があります。当社ではNPL-2の名称であり、放熱や急熱急冷が必要な用途に適しています。また、熱伝導率の低いZrO2系材料は、断熱特性に優れる熱遮蔽材としての用途に適しております。

3. セラミック製品の応用例

このように、セラミックスの材質によって、その特性は大いに異なります。その独特の性質を引き出し、利用することによって、新たな用途の拡大が可能となります。 表3は、材質と代表的な用途をまとめた表であります。

以上のようなセラミックスの用途につきまして、ご不明な点、ご相談などありましたら、ご一報お願いいたします。お客様のご要望により、特殊形状にも対応いたしますので、お問い合わせを、お願いいたします。

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