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第31号次世代耐食耐摩耗材料“TX1”

1. はじめに

 超硬合金は、高硬度・高強度等優れた機械的性質により切削工具・金型等の耐摩耗工具として広く用いられていますが、近年では耐食性も要求されるポンプ部品としてメカニカルシール・セラミック軸・軸スリーブ材などへのニーズが高まっています。当社でも、耐食性に非常に優れるβ-Ti基硬質材料(材種名:TM2・TW3)を商品化し、特に海水用軸スリーブ材などで用いられてきました。しかしながら、このβ-Ti基硬質材料(TM2・TW3)は優れた耐食性を有すものの、従来の超硬合金と比較して耐摩耗性・しゅう動特性に劣り、市場のニーズには十分対応できませんでした。今回、耐食性と耐摩耗性・しゅう動特性を同時に改善した新β-Ti基焼結硬質材料『TX1』について御紹介致します。

2. 機械的特性と耐食性

新β-Ti基焼結硬質材料“TX1”と比較材の物理的特性をTable 1に示します。
独自の粉末冶金技術により、TX1の硬度はWC-Co系超硬合金V3種にほぼ匹敵するHv1350を達成し、耐食性(3%NaCl中性溶液中)はG3(WC-Co系超硬合金)の約200倍にまで改善することができました。すなわち、TX1はFig.1に示すように、超硬合金に匹敵する硬度と非常に優れた耐食性を兼ね備えた全く新しい耐食耐摩耗材料であると言えます。

3. しゅう動特性

 Fig.2に示すようなスリーブ水中しゅう動試験装置を用いて、新β-Ti基焼結硬質材料“TX1”と比較材のしゅう動特性(限界PV値)を調査しました。本装置では水中でテスト試料をモーターで駆動しながら、SiC部品を所用荷重でテスト試料に押し付け、しゅう動させるものです。Table2には本試験条件を示します。
 本試験では周速を一定にして、徐々に荷重をあげながらトルクの変動を観察しました。各試料の荷重とトルク上昇値(しゅう動試験前後のトルク変化量)との関係をFig.3に示します。WC-Co合金(G3)はトルク上昇値も増大せず、本PV値の範囲では安定なしゅう動特性を示すことが確認されました。一方、従来β-Ti基硬質合金(TM2・TW3)は急激にトルクが上昇し、異常摩耗などが発生しています。これに対し、TX1は若干のトルク上昇はあるものの、安定なしゅう動特性を示すことが確認されました。

4. まとめ

以上のように、新β-Ti基焼結硬質材料“TX1”は超硬合金に匹敵する硬度(耐摩耗性)と非常に優れた耐食性、さらにしゅう動特性を兼ね備えた次世代の耐食耐摩耗材料です。TX1は、ポンプ用軸スリーブなどのように、耐摩耗性と耐食性が要求される部材やしゅう動部品などで最も優れた性能を発揮します。

(開発技術センター 第1T 中原賢治)

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