また、Moに1%の酸化セリウム(CeO2)を分散させたセリモリ(商品名:SC-Mo)があります。Moの高温再結晶温度は約1200℃ですが、CeO2の分
散により約1800℃まで再結晶を抑制するため、電極の変形が小さくなり、電極寿命が延びた実績があります。純MoとSC-Moの熱処理後再結晶組織を写真4に示します。
【銅タングステン合金】・・・高温硬さとコストを兼ね備えた合金
【銀タングステン合金】・・・ニッケル箔の溶接に、銅汚染を嫌う製造ラインに
WとCu、Wと銀(Ag)を複合合金化させた銅タングステン合金(Cu-W)や銀タングステン合金(Ag-W)は、高温強度と電気伝導率を兼ね備えた
電極材料です。
表1にJIS Z3234表2の抜粋を示しますが、これは国外規格であるISOに準拠しているため、Bグループに記載の25Cu-Wや23Cu-W合金組成は国内ではあまり流通していません。国内で市販されている標準組成は、30Cu-70W(当社商品名:エメ−C30A2 写真5)です。Ag-W合金の標準は35Ag-65W(同:エメ−S35A2 写真6)ですが、当社では10〜70Cu-残WのCu-W、20〜70Ag-残WのAg-Wをラインナップしており、溶接条件に応じた適切な材料を提供することができます。まず銅タンでは30Cu-70W(同:エメ−C30A2)、銀タンであればS35A2を供試いただき、その結果で前後の配合率のものを選定ください。
最近、製造ラインで銅の汚染による短絡事故防止の観点から、銀タングステン電極の要望も多くなってきています。また、Agは鉄(Fe)やニッケル(Ni)などと合金反応しにくいため、SUSの溶接やNi箔の溶接にも効果を発揮しています。