技術情報

第41号 タングステン/モリブデン系抵抗溶接電極特集号(36号改訂版) はじめに

抵抗溶接電極に求められる性能

抵抗溶接に用いられる電極には、以下に示す性能が要求されています。
1.高温、高圧力で変形しにくいこと
2.熱伝導と電気伝導が良い事
3.被溶接材及びめっき材と合金化しにくいこと
4.大気中で酸化しにくいこと
5.安価であること

析出強化合金(クロム銅、クロムジルコニウム銅、ベリリウム銅)の特徴

「JIS Z3234抵抗溶接用銅合金電極材料」の中で、表1の2〜4種で規定されている「クロム銅(Cu-Cr)」「クロムジルコニウム銅(Cu-Cr-Zr)」「ベリリウム銅(Cu-Be)」などの析出強化型合金が一般的に用いられています。これらはCuにCrやZr、Beなどを添加し熱処理によってCuマトリクス中に添加物を粒子として析出させ、硬さと電気伝導率(IACS%)を向上させているのです(写真1)。しかし、抵抗溶接では繰り返される加熱によって、Cu中に析出物が再び固溶して硬さと電気伝導率が低下し寿命に至っています。

分散強化型合金(アルミナ分散強化銅)の特徴

熱処理による固溶析出強化ではなく、Cu中に硬質粒子を分散させ、硬さと電気伝導率の特性を引き出しているものに「アルミナ分散強化銅」があります。これはJIS では5種に規定されているもので、
0.5%〜1%程度のアルミナ(Al2O3)をCuマトリックスに分散させたもので、分散強化型合金と呼ばれています(写真2)。析出強化型とは違って、繰り返される加熱による性能低下は少ないので、電極寿命を
延ばしたい場合に多用されています。
 しかし、これら析出強化型合金やアルミナ分散強化銅では、電極寿命が短くなってしまう溶接条件があります。
たとえば、
 ・被溶接物(ワークピース)やそのめっき皮膜によりCuと合金化してしまう場合
 ・熱伝導がよい銅線の溶接、厚板のもの
や熱かしめなど
 ・大電流、長時間の溶接条件
 ・溶接ショットサイクルが早い電機電子機器、電池部品の溶接ライン
などです。
 このような溶接にはJIS Z3234 表2−Bグループで規定されてる、タングステン(W)やモリブデン(Mo)、そしてこれらの合金電極材料が効果を上げています。

タングステン/モリブデンの特徴

1.タングステン(W)
 ・溶融点が金属中、最も高い(3387℃)
 ・常温での硬さ、また高温での硬さも高い
 ・常温ではかなり安定であるが、表面の光沢を失う程度に酸化する。
 ・400℃程度から酸化を始め、W3O,WO2,W20O58などを経て、700℃程度からWO3を形成し急激に酸化する。
 ・電気抵抗率が高い(5.5×10-8Ω・m IACS%で31)
2.モリブデン(Mo)
 ・高い融点を持つ(約2600℃)
 ・高温での機械的強度が高い
 ・空気中、常温ですでに酸化が始まり、暗赤色温度では、かなり酸化が進む。
 ・乾燥した酸素と常温では作用しないが、500℃以上では急速に酸化する。また650℃以上では揮発して白鼠色のMoO3となる。
 ・電気抵抗率が高い(5.7×10-8Ω・m IACS%で30)
 このように、WまたはMoは、その高温強度の優位性から、通電電流が大きい、ショットサイクルが早いなど、電極への熱的負担が大きい溶接条件において多用され、電極の変形による溶接品質のばらつきや、寿命が短いといった不具合に対し、優れた性能を発揮しています。
 ただし、熱伝導率が低いことから、電極の発熱は比較的大きくなります。また、WやMoと合金化しやすいワーク材質やめっき皮膜であると、溶着、スパッタなどがひどくなる場合があります。
 加えて酸化しやすいといった面もあるので、酸化消耗(スケールアウト)が進まないように、電極を積極的に冷却する必要があります。
 電極の温度上昇と酸化の防止には、後述する当社のNDB法が有効です。

ニッタン技報 

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