1)高温、高圧力で変形しにくいこと 高周波抵抗溶接
2)熱伝導と電気伝導が良いこと
3)被溶接材及びメッキ材と合金化しにくい
こと
4)大気中で酸化しにくいこと
5)安価であること
一般的に用いられているのが「クロム銅」「クロムジルコ銅」「ベリリウム銅」などの析出硬化型合金です。CuにCrやZr、Beなどを溶解し熱処理によってCuマトリクス中に添加物粒子を析出させ、硬さと電気伝導率(IACS%)を向上させています。しかし、抵抗溶接では繰り返される加熱によって、Cuマトリクス中に析出物が再び拡散し、電極性能の劣化が起こって寿命に至ります。熱処理による固溶析出ではなく、Cu中に硬質粒子を分散させ、硬さとIACS%の特性を引き出しているものに「アルミナ分散強化銅」があります。これは0.5%前後のアルミナ(Al203)をCuマトリクスに分散させたもので、分散強化型合金と呼ばれています。析出硬化型とは違って、繰り返される加熱による性能低下はありませんので、クロム銅より電極寿命を延ばしたい場合に多用されています。
しかし、これら析出硬化型合金やアルミナ分散強化銅では、電極寿命が短くなってしまう溶接条件があります。
・溶接物やそのめっきによりCuと合金化してしまう場合・熱伝導がよい銅線の溶接
・厚板ものや熱かしめなど、大電流、長時間の溶接条件
・溶接ショットサイクルが早い電機電子機器、電池部品の溶接ラインなど
このような溶接機には高温強度に優れ、繰り返される発熱・加圧で変形・摩耗が少ない
タングステン(W)やモリブデン(Mo)、そしてこれらの合金電極材料が効果を上げています。
図1 抵抗溶接の分類