バインダレス超硬合金RCCL、RCCFNには、以下の優れた特徴があります。
(1)機械的特性
表1 には、バインダレス超硬合金RCCL 、RCCFNの機械的特性をWC-Co系超硬合金G30(V30)と比較して示しています。硬質相のみで形成されるためHRA93以上、RCCFNは世界最高クラスの硬度を有します。図1には、RCCL、RCCFN、G30(V30)の合金組織写真(×1000)を示します。
(2)耐食性・耐酸化性
RCCL、RCCFNは化学的特性に劣る金属を含まず、耐食・耐酸化性の化学的特性は超硬合金の常識を大きく越えたものを有します。超硬合金の腐食は一般に結合相金属の優先的溶出によりますが、その反応をともなわないバインダレス超硬合金は優れた耐食性を有します。
図2には3%NaCl水溶液(擬海水)中での陽極分極曲線を示していますが、WC-Co、WC-Niに比べ電流密度は低く耐食性に優れていることが分かります。図3には気中500℃での酸化試験による表面粗さ変化を示します。バインダレス超硬合金は優れた耐酸化性を示すことが分かります。
(3)鏡面加工性
組織的に均一の硬質相から構成されますので、鏡面加工時、炭化物相と金属相の硬度差により生じていた凹凸を防止できます。また、優れた焼結技術による欠陥(ポア)の防止により、平滑で高面粗度の鏡面が得られます。
(4)高剛性
ヤング率も大きくセラミックと比較し高強度を示し、熱膨張は小さく、熱伝導率が高く、高温での成形金型として優位性を発揮します。
(5)しゅう動特性
金型等の固体潤滑条件下では耐摩耗性を有し、金属凝着摩耗性が低く低摩擦係数を実現できます。ポンプ部材等の流体潤滑条件下では、安定潤滑膜を形成し安定しゅう動が得られます