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タングステン・モリブデン製品タングステン・モリブデン使用上の注意

1 保管に際して
(1) タングステン、モリブデン粉のうちタングステン粉の2μm以下及びモリブデン粉の3μm以下の微粉末は、消防法上第2類の可燃性固体に分類されており、消防法に基づく保管が必要である。
(2) タングステン、モリブデンの微粉末は、火炎を近づけたり、高温に保つと着火燃焼するので、容器は密封し、スパーク、火炎、高温の場所での保管は避けることが必要である。
(3) 線引仕上げ線(ブラックワイヤ)や、温間仕上げ板(鍛造、温間圧延)は、空気中に放置しても、酸化膜が強固に付いているため、比較的長期間保存に耐えるので保管が容易である。しかし、熱処理・化学処理、又は電解研摩処理材は酸化し易いので、これらの線を1週間程度保管するには、湿度60%以下、温度28℃以下で、且つ化学薬品類から隔離された環境が必要である。従ってデシケータや空調室(恒温恒湿)などに保管し、また、表面を素手で触れないよう取扱いに充分の注意が必要である。
(4) 冷間圧延板、機械加工仕上げ品も表面酸化し易いので、乾燥雰囲気での保管が必要である。
(5) 10μm程度の極細線では、酸化により線同士が固着し、引き出し不能となり、再生処理もできなくなる。また、工程待ちの間でもデシケータに保管し、スプールのフランジに傷を付けないように、細心の管理が必要である。
(6) スプール巻き細線は、スプールを横にして振動、又は急激な温度変化を与えると、巻きくずれ・もつれの等の原因になる。

2 使用に際して
(1) 化学処理線を空気中に放置し、酸化変色した場合、再生のため水素炉処理を行っても、表面がマット状になるため、その延性は悪化する。従って、延性に関しては、MGで5%減程度の電解研摩による再生が必要である。

3 汚染脆化
(1) ブラックワイヤのグラファイト層を水素で除去する際には、湿潤水素を用い1,300〜1,500℃ 程度の処理を行う。また、グラファイトを除去した線(化学仕上げ、焼鈍仕上げ線等)の熱処理に際しては、特に前工程での油脂、汗類の付着防止あるいは、その除去を徹底する必要がある。
(2) モリブデン板の熱処理(加工歪の除去)をする際には還元性雰囲気(望ましくは乾燥水素)を用い、850〜950℃ 程度の処理を行う。また、酸化膜を除去した板(化学仕上げ、冷間圧延、機械加工仕上げ等)の場合には、グラファイトを除去した線と同様、前工程での油脂、汗類の付着防止あるいは、その除去を徹底する必要がある。
(3) 800℃以上の熱処理を行う化学研摩、熱処理、電解研摩、機械仕上げ材料では、ニッケル、鉄、コバルト及び、その合金製部品、例えば、ピンセット、ガイドプーリ、炉用ボート等との接触を避ける必要がある。なぜなら、接触部に溶融状のピンホールが発生したり、脆化が発生するのを防ぐためである。また、鉄錆の粉末等が付着した線を熱処理すると同様の現象が発生する。
(4) 材料(線・棒・板等)の熱処理に際しては、水素炉の保守に細心の注意を払い、常にきれいな状態にして置くことが必要である。
@ 炉ヒータの交換の際には、著しく変色した耐火物の再使用は危険であり新品を補充することが必要である。
A 炉ヒータの交換後の炉の空焼きを充分に行う必要がある。
B モリブデン材料の熱処理炉には、それ以外の材料、例えば鉄棒、ニッケルボート、カーボン、ステンレス鋼、青銅等のジグ部品を入れ、炉を汚染してはならない。
C ニッケル線、銅線等の熱処理炉とは必ず別にして、共用による炉の汚染をしてはならない。
(5) ランプ製造時に用いられる赤燐、ジルコニウム等のゲッター成分の付着によっても脆化することがあるので、注意が必要である。

4 機械加工
(1) 0.2mm以上の線・棒・板の加工(折り曲げ、打ち抜き、切断等)の際には加熱加工をした方が加工し易くなる。加工温度は、600〜800℃が目安であるが、最適温度は素材の加工度によっても異なる。 例えば、2mm厚以上の板の切断には、常温でハクソー(ハンドソー)や、グラインダーカッタを使用するか、充分加熱してシェア切断等することが必要である。
(2) クラックを生じた繊維組織の線・棒・板に圧縮、折り曲げ、しごき、ねじり等の力を加えると、そのクラック(層状クラック)は伝播する。従って、切断や打ち抜きの際には、切り口にクラックをいれぬ様に、カッターの刃先と、クリアランスは常に管理する必要がある。

5 安全上の注意
(1) タングステン、モリブデン金属粉の摂取を避けるため、粉塵を吸い込まない様に防塵マスクを着用し、食事や喫煙前には石鹸で手を洗う必要がある。
(2) できるだけ粉塵が発生しないように取り扱い、スパーク、火炎又は高温体との接近は避ける必要がある。
(3) 線・棒・板の曲げ、機械加工時は保護手袋、保護眼鏡を着用する必要がある。また、細い線でも強度が強いので、手に巻き付けて引きちぎる行為は避ける必要がある。
(4) 溶接時に発生するアークにより、目及び皮膚に負傷をする恐れがあり、アーク防止用保護面、皮手袋等の着用が必要である。また、溶接作業中は電極棒及び母材に触れると感電の恐れがあり、電極部や通電部に触れないように注意が必要である。

6 その他
(1) 溶接には、ティグ溶接、バット溶接、電子ビーム溶接、プラズマ溶接等の方法が用いられている。しかし、溶接部は非常に脆くなることを承知の上で施工する必要がある。
(2) 研摩方法としては、化学研摩、電解研摩、グラインダ研摩、バレル研摩の方法があり、それぞれの場合に適した方法を選ぶ必要がある。

タングステン・モリブデン工業会 発行 タングステン・モリブデン技術資料2009年2月より抜粋

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