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第35号 高密度タングステン合金『ヘビーアロイ』タングステン系加速器用電極の材質と構造

 加速器に用いられる電極には融点の高いタングステン(W)やトリウムが分散されたトリエーテッドタングステン(Th-W)が使われている。これら電極は高価であることから消耗部位のみで使われることがおおい。その他部分については冷却効果も期待して安価な銅(Cu)がシャンクとして用いられ、適宜設けられた水冷穴によって電極の温度上昇が押さえられる工夫がされている。
 WとCuとは圧入やろう付などの方法で接合された構造がおおく、接合界面で熱伝導が妨げられ、W先端で発生した熱がCuに速やかに伝達されない場合があり、ひいてはW電極の消耗に影響する。
 当社ではタングステンと銅の直接接合品を製作しており、タングステンで発生した熱を速やかに銅シャンクに伝達させ、消耗を押さえる効果があり、抵抗溶接用電極やプラズマ放電用電極では実績がある。

【W-Cuの直接接合:NDB法と摩擦圧接法】

 NDB法はタングステン(W)やモリブデン(Mo)に、銅を直接接合する方法として当社が開発したもので、Non Defective Bonding(無欠陥接合)の略称である。NDBの工法を図1に示すが、治具にW、MoまたはCu-W合金をセットし、Cu片を乗せ、非酸化雰囲気電気炉中でCuを溶解し、その後冷却してCuを凝固させ、シャンクを形成させる。
 表1にろう付品とNDB品の接合部の品質比較を、写真1にろう付品の接合部断面を、写真2にNDB 品の接合部断面を示す。
 NDB品にはろう材や欠陥など存在しないため、銅への熱伝導がよく電極寿命を長くできる。
表1 NDB品の接合部品質
 接合面積接合強度熱伝導率W/mk
ろう付品60〜80%98MPa以上170
NDB品ほぼ100%127MPa以上210
 回転摩擦圧接法は、接合部に発生する摩擦熱を利用して圧接する方法で、Fe同士の接合として発展し、今では異種材質同士の接合にも広く用いられている。この摩擦圧接をWとCu系台金の接合に利用しており、その品質は先述のNDB法によるものと同等である。

【製品例】

これらNDB法や摩擦圧接法を用いると長寿命な加速器用のW-Cu接合電極を製作することができると考えられる。

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