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第32号 NTダイカッター超々微粒子超硬合金製SFシリーズと切断刃応用例

1. 超々微粒子超硬合金「SFシリーズ」

 当社粉末冶金技術の応用により超微粒子超硬合金をさらに微細化した超々微粒子超硬合金「SFシリーズ(SF30、SF50)」を開発し商品化しましたのでご紹介します。
 Fig.1にWC-15Co超硬合金の粒径比較写真を示します。独自の製法により、超微粒子超硬合金よりもさらに細い超々微粒子超硬合金製造に成功致しました。
 Fig.2には硬度と抗折力の関係を示します。SFシリーズは強度・硬度とも、優れた合金であることが分かります。

 以上のようにSFシリーズは優れた強度(抗折力)と硬度を兼ね備えた次世代超硬合金です。
 「SFシリーズ」超硬合金をご使用されることにより、従来の超微粒子超硬合金よりも3倍から5倍の寿命向上が可能になります。
【SF30の特徴】
 従来の超微粒子超硬(当社材料FN30)に比べ、高強度・高硬度となり耐摩耗性の向上が期待できます。また、超々微粒子になることで刃先はシャープエッジが可能となり、さらに刃こぼれの少ない製品が提供できます。
【SF50の特徴】
 従来の超微粒子超硬(弊社材料FN30)に比べ硬度は同等ですが、Co含有量が多いので薄刃に使用された場合、しなりやすくなるので割れ等の破損が減少します。また、ろう付けしてお使いになる場合も、高Co含有ですので、ろう付け後の残留応力の緩和が期待できます。

2. 超硬合金材種の選定

 当社が創立以来続けてきた粉末冶金技術の応用により、用途に応じた超硬合金を製作し加工することが可能です。また、WC粒径、バインダー金属の種類と量、第3元素の添加等により、耐摩耗性・耐欠損性・強度・耐食性・耐熱性等要求に応じた材種選定も可能です。使用ワーク、機械、条件により最適な超硬材料をご提案し製作いたします。Table.1に当社代表材種物性値を示しますのでご参照ください。尚、そのほかの材種につきましてもご相談ください。
Table.1 当社代表材種物性地
材種名硬度
(HRA)
抗折力
(GPa)
破壊靱性
(K1C)
備考
SF3092.03.88.0超々微粒子
SF5090.53.510.0
FN3090.53.110.5超微粒子
G4087.53.015.0一般微粒子
BN5852.513.9粗大粒子
NR1189.52.412.1Niバインダー
SKH9641.820.0比較材

3. 切断刃応用事例

 切断されるワークには、布・紙・樹脂フィルム・金属箔等があり、近年では焼結前のセラッミックシートなどの硬い粒子が存在する切断にも使用されています。そのため、高い耐摩耗製と、剛性が
要求されるようになりました。
 これら市場の要求に応えるため、当社独自の製造技術を応用し、超硬合金製切断刃を商品化してまいりました。超硬合金製切断刃は、スチール製切断刃と比較して、約10〜50倍の寿命を有し、さらに切断面の品質の向上、切断装置の省力化、無人化に貢献し、高い評価を得ることが出来ました。
 今後も、お客様のニーズに応えられるようさらなる改良を加えながら、高い性能と信頼をご提供いたします。

1)シャープな切れ味
 超硬合金は、一般的な刃物用スチール(SKH51)と比較した場合、ヤング率が約2.5倍(約540GPa)と剛性が高いため、ワークを切断した際に刃先が逃げにくい性質を有しています(Fig.3参照)。そのためシャープな切れ味を有しワークの切断面の品質が格段に向上します。また、耐摩耗性に優れていることから、その状態を長時間持続することが可能になります。
2)ランニングコストの削減
 耐摩耗性に優れる超硬合金はスチール製の刃物と比較すると約10〜50倍の刃具寿命を達成しています。長寿命化によって、製造ラインの手離れ化、自動化が可能となり、ランニングコストを大きく削減することが出来ます。

3)様々な用途に対応
 超硬合金は、高い硬度(HRA90前後)を有するため、スチール切断刃では切断が困難だった金属箔や繊維質のワークにも使用することが出来ます。また、ワークに適した刃先形状に加工する事により、耐欠損性を向上し、より信頼性の高い刃物としてご使用頂けます。
●主な仕様

製作可能最大サイズは以下の通りです。
尚、その他の形状につきましてもご相談下さい。

4. まとめ

 超硬合金特有の性質を生かした設計を行う事により、超硬製刃物はその性能を100%発揮することができます。スチールと超硬合金の違いを十分に把握し、その長所・短所を認識することにより、スチール製刃物から超硬製刃物への転換もスムーズに行うことができます。また、現在超硬製刃物をご使用の場合でも、さらに高寿命をお望みのお客様は、当社へご相談下さい。

超硬部品部 製造技術Gr

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