技術情報

トップページ技術情報ニッタン技報第34号 > 高品位緻密質ファインセラミックス基板について

第34号高品位緻密質ファインセラミックス基板について

1.はじめに

 当社は、独自の高度な焼結技術を駆使することで、きわめて緻密で、均質なファインセラミック基板を製造しております。
 本稿では、その製品例として、ハードディスクドライブ(HDD)磁気ヘッド用セラミック基板を紹介いたします。
 現在の情報化社会を支えているのは、大量の情報を正確に記録するストレージ(記憶装置)です。なかでも、高速・大容量の特性を活かし、数あるストレージの核となるのがHDD(図1)で、近年パソコンのみならず、HDDレコーダーやカーナビゲーションシステム、携帯音楽端末やゲーム機までその用途は急速に広がっています。

2.磁気ヘッド基板に要求される品質

 磁気ヘッドの模式図を図3に示します。磁気ヘッドはAlTiCからなるスライダ上に形成されており、スライダは、ディスクの回転によって生じる空気流によって、ディスク上を浮上しています。ディスクには磁性膜が塗布されており、電磁石である磁気ヘッドが磁気的に情報を読み書きする原理です。
 HDDの中で情報を読み書きする根幹部品が磁気ヘッドです。この磁気ヘッドは、Al2O3−TiC(AlTiC)からなるセラミックス基板上に、半導体と同様に薄膜形成、フォトリソグラフィの技術でその素子が作製されます(図2)。当社は、この磁気ヘッド用セラミック基板を(株)NEOMAXと共同開発し、以来20年間に渡り品質改善、安定供給に努めてきました。現在当社が製造しているセラミックス基板は、磁気ヘッド基板のスタンダードとして世界に広く使用され、その品質は高く評価されています。
 HDDは10年で100倍の勢いで記憶容量が増大してきました。現在では、1平方インチあたり100Gビット(新聞約30年分の情報に匹敵)を越える情報を記録できるまでになっています。このHDDの高容量化は磁気ヘッドの性能向上の歴史でもありました。とくに、ヘッドとディスクの間隔を小さくすることが重要で、間隔が小さいほど、ディスクのより小さいエリアに正確に情報を読み書きでき、記録密度は大きくなります。現在この間隔は、10nm程度にまで小さくなっています。スライダを全長50mのジャンボジェット機に例えると、地上わずか0.4mmを超低空飛行していることになります(図4)
 この超低浮上は、スライダの浮上面に、流体工学やトライボロジに基づいた複雑かつ精密な加工を施すことで初めて実現されます。よってスライダ(基板)材には、ナノレベルで正確に加工できる性質が求められ、極めて小さな欠陥も許されません。このようなヘッド特性向上の観点のみならず、信頼性や生産効率からの要求もふまえると、基板材に求められる主な特性は、以下のようになります。�
1.精密に加工できること。
2.加工面が極めて平滑なこと。
3.これらの加工(切断、研磨、イオン加工)が効率よく容易に行えること。
4.加工や熱処理よって歪まないこと(残留応力が均一であること)。
5.気孔や異物などの欠陥がなく、組織が均質であること。
6.機械的な強度や剛性、靱性に優れ、耐摩耗性があること。
7.熱的・化学的に安定であること。
8.磁性を持たないこと。
9.熱伝導に優れ、適度な熱膨張係数を有すること。

3.AlTiCの歴史と特徴

 無数にある材料の中、現在、磁気ヘッド基板材としてAlTiCに勝るものは存在しません。このAl2O3−TiCセラミックスは、もともと緻密で強靱な構造用材料として、熱間加圧焼結技術を駆使し、当社が世界に先駆けて開発したセラミックスです。
 Al2O3セラミックスの脆弱さを補うためTiC粒子を分散させましたが、強度・靱性の向上だけでなく、TiCを添加することによって機械加工し易い性質も付与されました。さらに、微細加工には研磨やイオンミリングが用いられますが、複合材の場合、研磨速度やミリング速度は個々の粒子ごとに異なり、研磨面やミリング面には多少なりとも凹凸が生じます。しかし幸運にも、Al2O3とTiCはこの加工レートがほぼ同等であり、あたかも単一組織からなる材料のように極めて平滑な加工面を得ることができます。Al2O3とTiCは、まさに魔法の組み合わせと言えます。
 さらに、厳選された原料を用い、コンタミフリーなプロセスを構築することで高純度化を図り、独自の加圧焼結技術を駆使することで、微細で緻密、かつ均質な焼結体を得ることに成功しました。究極にチューニングされたAlTiCが、当社の磁気ヘッド基板材です。

4.おわりに

 当社では、今回ご紹介した磁気ヘッド基板のみならず、さまざまなファインセラミックス基板を製造いたしております。長年培ってきた独自の高度な粉末冶金技術を駆使することで、材種を問わず、きわめて緻密で均質なセラミックス基板を製造することができます。一般的に難焼結材とされる炭化物セラミックス等や、複合セラミックスも得意にしております。
 この機に、当社のファインセラミックス基板に興味を持って頂ければ幸甚です。何かお困りの点、ご質問等あれば、何なりとご相談下さい。

ニッタン技報 

日本タングステンへのお問い合わせはこちら

お電話・FAXのお客様はお近くの支店へお問い合わせください。
  • 東京支店 TEL 03-5812-2481 FAX 03-5812-2484
  • 名古屋支店 TEL 052-203-1081 FAX 052-203-1082
  • 大阪支店 TEL 06-6372-5681 FAX 06-6371-3986
  • 九州支店 TEL 0942-50-0050 FAX 0942-50-0055
日本タングステン株式会社(Nippon Tungsten Co.,Ltd)
〒812-8538 福岡市博多区美野島一丁目2番8号
TEL 092-415-5500(代表) / FAX 092-415-5511(代表)
Copyright(C) 2006 Nippon Tungsten Co., Ltd. All right reserved.
お問い合わせフォーム お電話・FAXでのお問い合わせ