■概要
当社、国立研究開発法人理化学研究所 平山秀樹主任研究員(平山量子光素子研究室)及び埼玉大学は、2019年より開始した人体への影響を低く抑えつつウイルスに対する不活化効果の高い遠紫外LEDの開発を目指した共同研究において、サファイア基板上に波長228ナノメートル(nm、1nmは10億分の1m)の遠紫外LED光源を開発し、これを高効率に動作させることに成功しました。
これは2023年11月9日に公表した波長230ナノメートルの遠紫外LED光源開発からさらに前進するものであります。
■開発内容
波長265nm〜280nmの紫外線は、ウイルスへの不活化効果が非常に高いことが知られていますが、光が人体の内部まで浸透し細胞を破壊してしまうため、決して人に当たらない用途に限定し使用されます。一方、波長220nm〜230nmの紫外線は、この波長の光がタンパク質への光吸収率が高いため、光が人の皮膚表面で吸収され、人体への影響が低く抑えられます。
波長228nmの遠紫外LEDを用いて発光に至った報告例が少ない中、今回はサファイア基板上において波長228nmのLEDの作製に成功し、かつ、サファイア基板上としてはこの波長で世界最高効率となる外部量子効率(※)0.32%を実現しました。
開発したLEDは、更に高効率化・集積化させることで、有人空間で利用ができるウイルス感染症予防対策や産業・工業用途における水銀を使用した紫外線ランプ代替の遠紫外LEDとしての展開が期待されます。
今回の開発内容の詳細は
こちらをご覧ください。
また、
理化学研究所のホームページからも今回の開発に関する詳細をご覧いただけます。
なお、本研究成果は、科学雑誌『Physica Status Solidi A』オンライン版(2024年5月23日付:日本時間5月23日)に掲載されました。
※外部量子効率(External Quantum Efficiency:EQE)素子に注入された電子と正孔の数に対する、素子の外部まで取り出すことができた光子の数