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タングステンの粉体粉末冶金用語事典

    タングステンの特性、性質

タングステンの特性 properties of tungsten

 タングステンの性質ともいう。密度は19.3Mg/m3と大きく、金とほほ同じ大きさである。融点は3,683Kと金属中最も高く、沸点も約6,000Kとレニウムに次いで高い。また蒸気庄が3,000Kにおいて10-2paと低く、高温材料として優れた特性をもつ。室温の比抵抗は5.5μΩ・cmで、抵抗率は温度の上昇とともに増加する。室温における硬度は300〜700Hvで、引張強度は2,000〜3,000MPaである。硬度ならびに引張強度は加工度の大きくなるほど大きくなる。タングステンの強度は再結晶により著しく低下する。加熱により1,300K付近からサブグレインが形成され、純タングステンは1,500〜1,800Kで、ドーブタングステンは2,000〜2,500Kで粗大結晶が形成される。またタングステンは延性-脆性遷移温度が高く、特に加工度の小さい材料は室温で低温脆性が見られる。低温での破断は粒界の破断、あるいは粒界を起点とする破断である。他の高融点金属と同様にタングステンも耐酸化性が劣る。空気中700K付近から酸化が始まり、1,400K以上では顕著な昇華が見られる。酸化剤を含む酸やアルカリに侵される。                                                 

タングステンの化学的性質 chemical properties of tungsten

 通常、U〜Y価の化合物をつくる。Y価の化合物が最も安定である。空気中、室温では比較的安定であるが、表面がわずかに酸化する。700K付近から酸化が始まり、1,100K以上で昇華する。1,400K以上で顕著な昇華が見られる。室温の水で表面がわずかに酸化され、高温の水蒸気にはすみやかに酸化される。塩酸・フッ酸ならびに硫酸には比較的安定であるが、硝酸のような酸化性の酸ならびに酸化剤を含む酸には酸化される。フッ酸と硝酸の混酸には激しく侵される。アルカリならびにアンモニア水には安定であるが、酸化剤を含むアルカリ水溶液には容易に溶解する。アルカリ溶融塩に侵され、特に酸化性あるいは酸化剤を含むアルカリ溶融塩とは激しく反応する。炭素と加熱すると1,700K付近から炭化物を形成する。窒素とは2,300K以上で窒化物を形成する。2,300K以下で窒素の吸収がある。フッ素とは室温から、また他のハロゲンとも加熱により反応してハロゲン化物ならびにオキシハロゲン化物をつくる。硫黄・リン・ホウ素とも高温で反応して化合物をつくる。水素とは反応しない。                                                   

タングステンの物理的性質 physical properties of tungsten

 原子番号74、原子量183.85、原子半径1.37A、結晶構造は体心立方で格子定数は3.165A(25℃)である。融点は3,683Kと金属の中で最も高く、沸点も約6,000Kとレニウムに次いで高い。また3,000Kにおける蒸気圧が10-2Paと低く、代表的な高融点金属である。密度は19.3Mg/m3で金とほぼ等しく、金属の中ではイリジウム・オスミウム・白金・レニウムなどに次いで大きい。室温での比抵抗は5・5μΩ・cmと金属の中では比較的小さい部類に属する。抵抗率は温度とともに大きくなり、1,300Kででは33μΩ・cm、2,300Kでは66μΩ・cmになる。室温から1,273Kの線膨張率は4.6×10-6/Kと金属の中では小さく、温度と膨張率の関係はほぼ直線となる。293Kでの比熱は134J/kg・Kと比較的小さく、熱伝導率は167W/m・Kと比較的大きい。1,273Kにおける比熱は151J/kg・K、熱伝導率は111W/m・Kである。                                     

タングステンの力学的性質 dynamic(mechanical) properties of tungsten

 6族金属で共有結合性の強いタングステンは原子間の結合カが強く、剛性が大きく、また融点も高い。しかし、一方で粒界が弱く、粒界から割れやすい。加工度の低い材料は延性-脆性遷移温度が高く、室温で延性を示さない。加工が進み結晶粒が細く長くなると延性-脆性遷移温度は室温以下となる。熱処理により粒が粗大化すると延性-脆性遷移温度は高くなる。タングステンの力学的性質は組織によって大きく変化し、圧縮・曲げ・衝撃・硬さのいずれも再結晶により大きく低下する。微量のカリウムを添加したドープタングステン線は、カリウムによる粒界の強化や分散強化効果により強度が高い。またカリウムバブルの再結晶抑制効果により、加工方向に伸びた長大な二次再結晶粒を形成して高温のクリープ強度を大きく改善する。ただし、低温での延性は低下する。タングステンは室温でのねじりに弱く、繊維組織ならびに再結晶組織ともねじりによって破断、もしくはクラックを生じやすい。                                         

タングステンの核特性 nuclear properties of tungsten

 中性子を有効に利用するため、原子炉構造材料には中性子吸収断面積の小さい材料が使われる。タングステンの中性子吸収断面積は19barn(10-28m2)と比較的大きい。また原子炉材料には中性子照射による誘導放射能の少ないものが望ましい。タングステンの同位体は176から188まであり、うち安定同位体はW180・W182・W183・W184・W186である。W183以外は放射化が問題となる。                 

                                                 粉体粉末冶金用語辞典 より
                                                 編者:(社)粉体粉末冶金協会
                                                 発行所:  日刊工業新聞

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