工業的に重要な鉱石は灰重石(シーライト、CaWO4)と鉄マンガン重石(ウォールフラマイト、((Fe、Mn)WO4)である。灰重石は比重が約6で灰色、鉄マンガン重石は比重7.2〜7.5で黒褐色を呈する。全世界の埋蔵量は250〜300万トン(W純分)と見られる。最大の生産国は中国で、世界の大半を占める。鉱石は日本にも産するが現在は採掘されていない。粗鉱の品位はWO31%程度で、選鉱によりWO365%以上にする。通常WO370%以上で取引される。精鉱の主な不純物はモリブデン・スズ・ヒ素・カルシウムなどである。わが国の鉱石輸入量は年間約500トン(W純分約300トン)程度であるが、中間製品のパラタングステン酸アンモニウム(APT)を年間約6,000トン(W純分約4,200トン)消費している。主たる鉱石の輸入先は中国ならびにポルトガルで、またAPTもそのほとんどを中国から輸入している。その他、タングステン炭化物や金属粉を中国・韓国・ヨーロッパ・カナダなどからおよそ1,500トン輸入している。タングステン原料としてスクラップの利用率は生産量の20%程度と見られる。