代表的な高強度合金として、低温脆性と再結晶脆性を改善したW-Re合金や、再結晶脆性を改善したW-ThO2合金がある。3〜20数%レニウムを含むW-Re合金は延性-脆性遷移温度が低く、室温で靭性がある。W-Re合金は一次再結晶域で著しく伸びを示し、常温引張りで10〜20%以上の伸びが見られる。またW-Re合金の二次再結晶温度は2,500K以上と高い。高温引張強度は2,000Kで約300MPa、2,500Kで100MPaである。W-Re合金は高温高強度材料に用いられるほか、X線管球のターゲットや高温用の熱伝対に用いられる。タングステンに1〜2%の酸化トリウムを添加したトリエイテドタングステン(W-ThO2)は、微細に分散したThO2が再結晶を抑制し、二次再結晶温度が2,200〜2,500Kと高い。2,000Kにおける引張強度は約500MPaである。同様な合金にジルコニアやイットリア分散合金がある。W-ThO2合金は高温高強度材料として使われるほか、今日ではむしろ電子放出材料として用いられることが多い。