平均粒子径2〜5μmのタングステン粉を圧力100〜150MPaでプレスした後、水素炉中1,300〜1,500Kで予備焼結する。予備焼結後の圧粉体の両端を水冷したタングステンプレートの電極でクランプして水素を満たした半鐘中に保持し、圧粉体に直接電流を流し3,000〜3,300Kに加熱して焼結する。昇温は適度な温度勾配をつけて行う。急激な昇温は不純物が内部に閉じこめられ、焼結体にふくれや割れを生じる。1,900K付近からネッキングの形成と収縮が見られる。圧粉体の見掛密度は通常9〜10.5Mg/m3(相村密度47〜54%)で、焼結後の密度は17.5〜18.5Mg/m3(同91〜96%)となる。線収縮率は約15%である。高温では組織が粗大化し、原子空孔の消滅場所となる粒界が減少して空孔が結晶粒内に閉じこめられるため、焼結温度と密度は必ずしも比例しない。粒子径の小さくなるほど焼結の進行は早い。0.5μm以下の微粉では2,000Kで相対密度95%の焼結体が得られる。一般に、真空中より水素中の方が焼結性は良い。これは粒子表面の酸化皮膜が還元されるためと考えられる。Niの添加はタングステンの焼結温度を下げる。