わが国ではW純分として年間4,000〜4,500トンのタングステンが消費される。そのうち、およそ20%がスクラップからの回収品と見られるが、海外からAPT(パラタングステン酸アンモニウム)ならびW粉の輸入もあり、リサイクル率の正確な値はわからない。世界のタングステンのリサイクル率もほぼ同程度とみられる。タングステンの用途は超硬合金が最も多く、スクラップの回収ならびにリサイクルも超硬合金を中心に行われる。リサイクルには再生WC粉として回収する方法と、APTまで再精製する方法がある。超硬スクラップの処理方法として、高速粉砕機で直接粉砕する方法、2,300K以上の高温で脆化したのち粉砕する方法、超硬合金を溶融亜鉛浴に浸け、コバルトを合金化して分解する方法、化学処理でコバルトを溶解する方法などがある。日本では高温法や亜鉛浴法が行われる。タングステン線のスクラップは900〜1,100Kで酸化したのち精製する。Cu-WやAg-Wのような合金は酸処理して銅や銀を抽出したのちタングステンを回収する。