技術情報

トップページ技術情報ニッタン技報第30号 > タングステンシートの放射線しゃへい性能評価を応用製品

第30号タングステンシートの放射線しゃへい性能評価を応用製品

1.はじめに

放射線関連技術が進歩しその利用が拡大する中で、放射線遮へいには、その遮へい能力が優れる割に安価である鉛、もしくは鉛含有材料の遮へい材が使用されてきました。しかしながら、鉛は人体に有害な物質であり地球環境に対して影響を及ぼすものとして世界的にも規制の動きがあり、その代替材料が求められています。
 一方、環境への影響がきわめて小さなタングステンを主成分とするタングステン合金は、同体積における放射線遮へい能力が鉛と比較して非常に高く放射線遮へい材として利用されています。しかしながら、高温で焼結するため柔軟性・加工性が悪い、値段も高価であるといった課題があり、その用途は限定されてきました。
 上記の課題を克服するために、当社では長年培われてきた粉末冶金技術と複合化技術を融合することによって、タングステンと有機材料からなる全く新しい高密度の複合材料を開発し、柔軟性・リサイクル性を有する環境に優しい「タングステンシート」として商品化しました。

2.製造方法

特殊な方法で混合調整されたタングステン粉末とエラストマー樹脂を加温混練した後、一旦ペレット状に成形、更にペレットを加温、加圧成形することにより内在する空気を排除し、最終的には高密度で均一なタングステンのシートを得ることができた。タングステンシートは250mm×250mm×1〜3mmを標準サイズとしているが、これは取り扱い易い重量及び一般的に要求されるしゃへい厚さから決めたものであり、必要があればより大きな面積や、より厚くあるいは薄く製造することが可能である。

3.放射線しゃへい性能評価

放射線しゃへい材に要求される最も重要な特性は放射線しゃへい能力であるが、ここはX線を対象にした低エネルギー領域放射線と、原子力発電所等で問題となるCo60等からのr線を対象にした高エネルギー領域の放射線にたいするしゃへい能力を評価した。
表1にJIS Z 4501「X線防護用品の鉛当量試験方法」に従って実施した「鉛当量試験」の結果を示している。
試験は100kv及び150kvの管電圧のX線について実施しているが、タングステンシート1oの厚さしゃへい能力は、鉛の1.1o〜1.2oのしゃへい能力に相当しており、鉛より高いしゃへい能力を有していることがわかる。
表1 タングステンシート鉛当量測定結果
管電圧(kv)鉛当量(mmpb)
1001.18
1501.11
※1oシート換算値
次に高いエネルギー領域の放射線を対象にしたしゃへい性能試験の結果を図1に示す。図1はタングステンシートの厚さを1oづつ変えた場合のCo60(平均1.2MeV)r線の減衰率を鉛と比較して示している。同図から分かるように、例えば2o厚さのタングステンシートは2.6oの鉛(2.6oPb)と同等のしゃへい能力を有していることが分かる。
これより、Co60r線に対してはタングステンシートは鉛の1.3倍程度のしゃへい能力を持っていると言える。

4.まとめ

当社で開発したタングステンシートは鉛より高い放射線しゃへい性能を示しているといった特徴を持ち合わせているため、医療用のレントゲン装置から各種工業分野における各種X線装置、また原子力発電所、大型電子加速設備といった放射線施設内で使用される放射線しゃへい材への応用が期待される。
また、タングステンシートの応用製品として、作業性を良くした大面積のタングステンマット(図2)、小径配管のしゃへいに適した小径配管用ロール(図3)を開発しており、ユーザーニーズにも応えている。

ニッタン技報 

日本タングステンへのお問い合わせはこちら

お電話・FAXのお客様はお近くの支店へお問い合わせください。
  • 東京支店 TEL 03-5812-2481 FAX 03-5812-2484
  • 名古屋支店 TEL 052-203-1081 FAX 052-203-1082
  • 大阪支店 TEL 06-6372-5681 FAX 06-6371-3986
  • 九州支店 TEL 0942-50-0050 FAX 0942-50-0055
日本タングステン株式会社(Nippon Tungsten Co.,Ltd)
〒812-8538 福岡市博多区美野島一丁目2番8号
TEL 092-415-5500(代表) / FAX 092-415-5511(代表)
Copyright(C) 2006 Nippon Tungsten Co., Ltd. All right reserved.
お問い合わせフォーム お電話・FAXでのお問い合わせ