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超硬合金箔状製品向け高速輪郭加工装置:特殊精密金型とNTダイカッター

1.はじめに

 金属を叩いて、薄く延ばしたものを箔と称します。日本では、古来より漆器や襖絵などで金箔を使った細工が見られ、非常に身近なものでした。近代では、携帯電話をはじめとするモバイル機器の小型化に伴い、それに用いられる電池やコンデンサーも小型化されており、内部の電極も薄い金属箔が用いられております。
 電極として用いられる金属箔には、主に銅とアルミニウムが用いられますが、これら金属箔加工における特徴を以下に示します。

@延性が非常に高いため、バリを生じやすい。
Aヤング率が低く、また箔状であるため、切断時にシワを生じやすい。
B凝着を生じやすい。
 
 日本タングステンでは、このような箔状製品の輪郭加工のため、特殊精密金型(Fig.1)とNTダイカッター(Fig.2)による2種類のアプローチを取り組んでおります。適用される超硬合金への要求材料特性、それぞれのアプローチの利点や、製品事例を次章より紹介いたします。

2.特殊精密金型やNTダイカッターに求められる超硬合金の材料特性

2-1.超微粒子超硬合金 
 特殊精密金型やNTダイカッターの要求特性としては@長寿命であること(耐摩耗性)、A信頼性が高いこと(耐チッピング性)、B切れ味がよいこと、などが挙げられます。これらを満足するには高硬度でかつ高強度の超硬合金が必要となります。そのため、これらアプリケーションには当社独自の超微粒子超硬合金が採用
されております。超微粒子超硬合金は硬質物質であるWC(タングステンカーバイド)の粒径を非常に小さく(1μm以下)することによって、従来の超硬合金と比較して高い硬度と強度を達成いたしました。さらに、粒径を小さくすることによって刃先先端がよりシャープになり、切れ味をも改善しております。
2-2.HIP処理
 超硬合金は粉末を焼き固めて製品にする粉末冶金技術によって製造されています。製造工程は大きく分けて、粉末混合から焼結・HIPまでの焼結工程とその後の機械加工工程に分けられます。
 焼結工程では高い材料物性と安定な品質を得るために、当社独自の焼結技術が活かされております。特にHIP(Hot Isostatic Pressing)は焼結後に高温高圧処理する特別な処理で、チッピングや破壊の原因となる材料欠陥、例えば微小残留ポア(空孔)や微小クラック、を極限まで抑制し、材料が本来持っている最高の性能
を引き出すことができます。

3.特殊精密金型の利点

3-1.抜きバリ、ダレの少ない箔の抜き加工を実現 
 金型による抜き・切断加工はパンチをダイに押し込むことによるせん断によって行われ、カッターナイフのように、刃を製品に押し付けることによって行われる破断とは異なります。このせん断加工を安定して行うには、パンチとダイの隙間(クリアランス)を適正に保つことが必要で、このクリアランスは板厚の5%〜10%の設定となります。
 せん断加工の代表的なものは、ハサミによる切断がありますが、ハサミは切断時に2枚の刃をすり合わせることによって、このクリアランスを実現しています。金型の抜き・切断加工の場合、板厚が厚い場合は問題とはなりません。しかしながら、電池用の金属箔などは板厚が薄くかつ、カーボンなどの塗布膜を含む多層膜と
なっているため、抜き・切断加工で発生するバリ・抜きダレ・微細粉などのコントロールが難しくなります。電池用の金属箔の板厚を0.03mmとすると、この金型のパンチとダイのクリアランスは0.0015mm〜0.003mmとなり、安定したクリアランスを維持するためには以下に示す項目が重要となります。
 @ パンチ、ダイなど個々のパーツを高精度で加工する技術
 A 剛性や各パーツの位置精度を高める型構造の設計ノウハウ
 B それぞれの部材を安定して組立てるための熟練した組立て技術
 当社は長年培った金属薄板抜きのノウハウを生かし、電池用などの箔抜き金型の製作を行っており、製品サイズ 80mm×30mmの形状抜きを実現しています。

3-2.曲線や曲率の小さな抜き・切断が可能
 金型で抜き・切断を行う場合の特徴として、抜き・切断形状に小さな曲率を有する曲線の場合でも精度良く加工を行うことが可能なことが挙げられます。
 金型では、抜き・切断形状の曲率が小さな場合でも、パンチ、ダイの製作が可能です(Fig.4参照)。また、抜き・切断された製品の寸法精度はパンチ、ダイの精度がほぼ転写されますので、被加工物の寸法精度を要求される場合は、特殊精密金型による加工が有利です。

4.NTダイカッターの利点

4-1.高速加工・大量生産に適した切断方法
 切断される金属箔が薄くなるにつれて、これらを抜き金型で切断するためには、前述の通りパンチとダイのクリアランス調整に高い技術が要求されます。一方ロータリーカット方式は、このクリアランスの問題がなく、高速でかつシャープな切れ味を得ることが可能です。
 加えて、ロータリーカット方式を用いた場合、製品流れ方向間のトリムを無くすゼロトリム方式が容易に実現可能であるため、材料歩留まりを良くする効果もあります。よって、高価な原材料をご使用のお客様にとっては、非常に興味深い切断方法であると言えます。
 また、従来のダイス鋼製ダイカッターでは、硬い金属材料を切断すると極端に寿命が低下する問題が発生する場合がありますが、超硬合金製ダイカッター:NTダイカッターでは長寿命と高信頼性を得ることが可能です。

4-2.バリを抑制するための技術
 NTダイカッターでは、ワークをダイカッター刃先とアンビル間で押しつぶして切断する「潰し切り」方式になっております。これは金型などのせん断方式と異なり、ワーク切断面の変形が大きな切断方式となります。特に金属のような延性の高い材料においては、切断部にバリが生じやすくなります。
 その様なワークに対しては、刃先の頂角をコントロールするこ
とによって、一方の切断面に生じるバリの発生を抑制することが
可能です(Fig.5参照・特許出願中)。

5.まとめ

 最後に、「特殊精密金型」および「NTダイカッター」の長所・短所をまとめると、Table1のようになります。箔状製品向け高速輪郭加工をご検討中のお客様におかれましては、各々の特徴をご理解のうえ、弊社にご相談ください。
 当社では、これら特殊精密金型やNTダイカッターによる切断性能評価を希望されるお客様の要望に応えて、簡易装置を用いたテストカット対応を行っております。お客様からお預かりした原材料を実際にカットし、その切断面の品質や切断荷重から切断特性を判断し、その結果と推奨される切断方式を御報告させていただきます。

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